ここでは建具工事の種類や材料、工事の施工方法などを紹介します。
\ この記事はこんな人におすすめ /
- 現場監督を目指している人
- 現場監督になりたての新人さん
- 建具工事を知らない人
\ この記事でわかる事 /
- 建具工事が何かかがわかる!
- どんな職人さんが建具工事をするかがわかる!
- 建具にどんな種類があるかがわかる!
建具工事とは
建具工事とは、金属製または木製の建具を工場製作し現場で取り付ける工事です。
建具は建築物の開口部に設けられる開閉機能をもつ仕切りであり、主に壁(外壁や間仕切壁)の開口部に取り付けられて扉や窓として用いられます。
用途は出入口・通風口・採光・遮音・防犯など多岐にわたり、様々なタイプの建具が用いられています。
窓や扉の開閉方法による種類
窓
まず窓。
いっぱいあります。
引違い窓・滑り出し窓・上げ下げ窓・はめ殺し窓(FIX)・ルーバー窓・内(外)倒し窓等がよく登場してきます。
扉
次は扉。
「開き戸」→片開き・両開き(親子)・折れ戸タイプがあります。
「引き戸」→片引き・引き分け・引違いタイプがあります。
扉の形状による種類
フラッシュ・框組・ひとつとんでガラス戸等の種類があります。
建具の種別
建具の種別として、機能や材質そして開閉方法による分類があります。
材質による種別は、アルミニウム製建具・鋼製建具・ステンレス製建具・木製建具・樹脂製建具・鋼製軽量建具の6種類に分けられます。
更に共通仕様書での範囲では、建具用金物・自動ドア開閉装置・自閉式上吊り引き戸装置・重量シャッター・軽量シャッター・オーバーヘッドドア・ガラスも適用されます。
アルミニウム製建具
アルミニウム製建具とは
アルミニウム製建具とは、主要な部材がアルミニウム製のものをいいます。
主に外部に面する窓に用いられます。
アルミ製建具専門の職人さんが取付及び調整を行います。
呼び方で知っておくとよいのは
AW→アルミサッシ AG→アルミガラリ AD→アルミドア
等があります。
工場制作
アルミニウム製建具は、軽塁で錆びにくい性質があるのでビルの外壁開口部にはアルミサッシとして広く用いられています。
一方、耐アルカリ性・伸縮性・強度・防火性などに欠点があります。
step
1押し出し加工
アルミニウムの地金を主原料とするアルミビレットを押出し加工し、指定された形状のアルミ形材をつくります。
step
2表面処理
押出し加工されたアルミ形材は腐食に耐え、 かつ美しさを保っために表面処理(アルマイト処理+塗装)をします。
step
3加工・組立
表面処理の済んだ形材は、用途に合わせて加工・組立てをします。
生産ラインはコンピューターで管理されています。
step
4検査・出荷
加工・組立てが完了した製品は、工場内で検査を受け出荷されます。
現場取付
アルミニウム製窓の取付け手順は、
step
1仮止め
建具枠をくさびで仮止めする。
step
2位置決め
図面寸法と墨を確認し、くさびの出入りを調整することで建具位置を固定する。
step
3本取付
躯体のサッシアンカーと建具を溶接で本取付けする。
step
4トロ詰め
建具と躯体の隙間にセメントモルタル(防水剤入り)を充填する(左官工事)
step
5養生
保護養生を行う。(現場監督や軽作業員さん工事)
以上になります。
樹脂製建具
樹脂製建具とはプラスチック系の樹脂を組み合わせて作った建具です。
樹脂単独では強度や耐久性などに不安があるので、アルミと組み合わせたアルミ樹脂サッシが一般的です。
比較的軽い建具になり、断熱性能も高くなります。
樹脂製建具は建具単体の断熱性能が比較的高く結露もしにくくなります。
軽いうえに精度が高いので、開閉などの操作も軽くなります。
欠点として樹脂製建具は、防火性能はほとんどありません。
アルミ樹脂サッシは、アルミ部分で一定の防火性能を確保します。
そしてプラスチックなどの樹脂類は、紫外線に弱いので日光に含まれる紫外線で劣化して脆くなるので、耐久性の面で不利です。
金物の取り付けも弱点でビスなどの金属と樹脂本体の強度や特性が異なるので、取り付け部分に不安があります。
鋼製建具
鋼製建具とは
鋼製建具とは、主要な部材がスチール(鉄)製の建具をいいます。
主に扉に用いられることが多く、区画壁に設ける防火扉としても用いられます。
スチール製建具専門の職人さんが取付及び調整を行います。
SDという表記はスチールドアです。
工場制作
溶接加工は、熱による著しい変色やゆがみそして溶接むらなどのないように注意して行います。
step
1加工・組立て
鋼板を切断や曲げ加工を行い、指定された形状のスチール材で組立をおこないます。
step
2防錆塗装・焼付塗装
加エ・組立て後、防錆処理として決められた化粧の塗装を行います。
必要に応じて組立て前に塗装を行います。
step
3検査・出荷
加工・組立て・塗装が完了した製品は、工場内で検査を受け出荷されます。
現場取付
基本的にはアルミニウム製建具と同様ですが、扉の場合は取付け前に下枠(くつずり)の裏面にセメントモルタルを詰めます。
取付け前にセメントモルタルを詰めておくことで、くつずり部の中が空洞となることを防ぎ使用時に踏んだ際の音鳴りや過大な荷重が掛かることによる変形を防ぐことができます。
鋼製軽量建具
鋼製軽量建具と鋼製建具の大きな違いは扉の板厚が1.6㎜→0.6㎜である事。
軽量ですが、その分雨やその他気象変動に弱く防音性も鋼製建具より劣ります。
建築基準法により特定防火設備ならば鋼製建具になりますが、防火設備ならば鋼製軽量建具で対応できます。
ステンレス製建具
ステンレス製建具とは、主要な部材がステンレス製の建具をいいます。
使用される例としては、施設などの入口の自動ドアが挙げられます。
基本的にスチール製建具を取り付ける職人さんが施工を行います。
木製建具
木製建具とは、主要な部材が木製の建具をいいます。
主に住宅の部屋の扉に使われます。
障子や襖なども木製建具に分類され、木建やさんと呼ばれる専門の職人さんがおられます。
この方達は造作大工さんとはまた別で建具専門の職人さんです。
表記でWDとあればウッドドア、木製建具のことです。
建具用金物
建具用金物とは読んで字のごとく建具に付随する金物のことです。
鍵や丁番などたくさんの金具があります。
シリンダー錠
鍵を差し込んで錠前を操作する「鍵穴」の部分のことをシリンダー錠と表現することもあります。
本締錠
本締錠(ほんじまりじょう)とは、デッドボルト(ストッパーとなる突出部分)だけを備えた錠で、ラッチボルトを持たない構造の錠を指しています。
グレモン錠
グレモン錠はレバーハンドルとロックが連動した単純な作りの鍵です。
窓をはじめとしていろいろなところで使われています。
構造が単純だからこそ頑丈で壊れにくく、レバーを下げるだけで簡単に開け閉めができるのがグレモン錠です。
鎌錠
鎌錠 かまじょう 引き戸、引き違い戸で多く用いられる錠前のことで、鎌形のボルトの先端を回転させて、建具側に設けられた受け座に引っ掛けて施錠するものです。
ケースハンドル錠
にぎり玉
レバーハンドル
丁番
ピポットヒンジ
ピポットヒンジとは、扉の上端と下端に付ける丁番です。
中心吊り、持ち出し吊りがあります。
また扉の上端と下端に付ける丁番。
中心吊り、持ち出し吊りがある。
フロアヒンジ
フロアヒンジとは、ドアの軸下の床に埋め込まれている、扉の開閉スピードを制御する装置のことです。
内蔵されているスプリングと油圧の力によって、ドアが急に開いたり閉じたりしないように開閉スピードを調整する役割を果たしており、ドアを定位置でストップさせる機能を持つものもあります。
ドアクローザ
ドアクローザとは、玄関などのドア上部に付いており、ドアを油圧によりゆっくりと自動的に閉めるための装置です。
閉鎖順位調整器
閉鎖順位調整器とは、両開きの防火戸の場合閉鎖する順番が決まっておりその左右の閉まる順番を調整する為の器具です。
フランス落とし
アームストッパー
アームストッパーとはドアや窓を開いた状態で止めておくため、建具の上部に取り付けられる棒状の金物のことをいいます。
「レバーストッパー」とも呼んだりします。 ドア面に取り付けるタイプや上框(うわがまち)に掘り込んで取り付けるタイプなどがあります。
戸当たり
クレセント
引手
戸車
あおり止め
自動ドア開閉装置
自動ドア開閉装置とは、いわゆる自動ドアです。
取付をサッシやさんが行い、その後エンジンをメーカーが取付ます。
(例YKK→ナブコドア)
自閉式上吊り引き戸装置
自閉式上吊り引き戸装置とは、扉を上部から吊り込むタイプの扉です。
よくハンガータイプともいいます。
重量シャッター
重量シャッターとは、スラット(カーテン)板厚が1.2mm以上のものとパイプ(グリルシャッター)で組み合わされた製品を重量シャッターといいます。
シャッター部材名称
軽量シャッター
軽量シャッターとは、建築物の外壁開口部等に防犯を主目的に設置するシャッターです。
鉄製でスラット(カーテン部)板厚1.0mm以下で、スプリングで上下のバランスをとり手動開閉させる製品です。
オーバーヘッドドア
ガラス
ガラスの種類一覧
透明ガラス(フロートガラス)・型板ガラス(凹凸ガラス)・すりガラス(曇りガラス)
網入り磨きガラス・網入り型板ガラス(凹凸ガラス)
他にも強化ガラス・複層ガラス(ペアガラス)・合わせガラスなどがあります。
その他
防炎垂れ壁
防炎垂れ壁とは、建築基準法で定められた防煙区画を構成する防煙壁のことです。
天井から50cm以上垂れ下げた壁により、火災時に煙の流動が遮断され避難する時間を少しでも長くすることができます。
排煙窓・排煙オペレーター
排煙窓とは、万が一の火災の際に生じる有害な煙を外へ排出し建物内の安全を確保するための窓のことです。
火災時以外でも、通常の室内換気用の窓としても利用できます。
排煙窓は通常、手が届かない場所に設置されているため、開閉するための「排煙オペレーター」が備わっています。
【新人現場監督必見!】初心者向け!建具工事を1級建築施工管理技士が解説!のまとめ
この記事では建具工事の基本を紹介しました。