

コンクリート打設計画は事前に段取するものの把握、業者手配や設計事務所への報告等々必ず必要になるものです。
更に計画書をまとめておくことにより、当日の管理もしやすくなります。
内容を理解して作成できるようになりましょう。
また計画書の完成したものに同じものはありません。
現場の状況や天候など様々な条件で変わりますし、考え方は人それぞれですから。
ただ、すべての項目に根拠は必要です。
先輩に確認する際も、これはここに書いてあって決定されているものだからとか、○○さんと打ち合わせをした結果この打設順序が良いと判断したとかね。
根拠に自分の考えを反映すればみんなに納得されやすいです。

- 現場監督を目指している人
- 建築に興味がある人
- 現場監督になりたての新人さん
\ この記事でわかる事 /
- コンクリート打設計画書に何を書けばいいのかがわかる!
- 各項目に記入する際、誰と打ち合わせをしどこで調べたらいいかがわかる!
Contents
施工情報
打設年月日
コンクリート打設の予定日です。
先輩や業者さんとよく相談し工程管理をしながら予定の日を設定しましょう。
- 工程表で予定日を確認します。
- 天気予報アプリで予備日も想定しておく事。
打設場所
コンクリートを打設する場所です。
階数や工区、部位など関係者誰もががわかるように明記しましょう。
記録写真の部位と同じにしておくといいでしょう。
先輩に確認しましょう。

- 例)4工区基礎や5階2工区、外構駐輪場土間など。
打ち込み数量及び平均打ち込み速度
今回打込む全コンクリート数量と時間当たりに何m3必要かです。
事前に打設範囲に必要なコンクリート数量を算出しておきましょう。
生コンプラントにはこの数量から少し控えた数量を発注します。
更に何時から何時までに打設をしたいか、終われるかを管理する為に時間当たりの数量も算出します。
プラントに伝えておくとプラントの方もそれが可能なようにミキサー車を何台用意しておくか考えてくれます。

- コンクリート数量を算出しておきます。
- ミキサー車の小型は2m3積、大型は4m3積です。
- 例)35m3の場合、小型なら35÷2で17.5台。控えて17台分34m3で待ちとプラントに発注します。
- 例)1時間で3台分コンクリートを流し込むなら60分÷3で20分。ピッチは20分とプラントに伝えます。
打設開始時刻
打設の開始時刻を決めましょう。
開始時刻は現場にミキサー車が来て生コンを降しだし打ち込みを開始する時刻です。
朝礼・KY・打設準備・現場荷降し試験はこの開始時刻までに終わらしましょう。

- 朝礼・KY・打設準備・現場荷降し試験のそれぞれ必要な時間を把握し計画に盛り込みます。
- 適当に設定すると準備出来てないのにどんどんミキサー車が来出して渋滞や近隣に影響がでる恐れがあります。
休憩開始時刻
打設数量が多い時は職人さんの休憩時間も考慮して計画しましょう。
あらかじめ時間を決めておくと当日の管理もスムーズにいきます。

- 職人さんは機械では無い!計画に盛り込んでおくと作業効率も上がります。
- プラントにも通達しておくと渋滞しないし、コンクリートの品質も確保できます。
- 夏場はこまめに10分くらいづつ水分補給を。また日陰を作り扇風機で風を当ててあげるといいですよ。
垂直方向と水平方向それぞれの数量と予定終了時間
躯体コンクリートの場合、打設の順番は
柱壁→柱壁→梁→スラブ
の順番になります。
柱壁の場合と梁スラブの場合と打設するスピードが違います。
それぞれの数量と終了時間を予定しておくことにより、当日の管理がしやすくなります。
- 垂直方向より水平方向は障害物が少ないので打設スピードは1.5倍くらい上がります。
- 垂直方向は吹き出し等も多く慎重に打設します。
計画配管長さ(水平方向・垂直方向)
ブームで全打設箇所に届かない場合、配管を繋いで打設を行います。
ポンプの設置場所から一番遠い打ち込み場所の距離で判断し何本配管がいるか算出します。
ポンプ車が当日何本持ってきたらいいか事前に伝えられます。
また垂直方向の配管は当日ではなく、現場に据え置きのことが多く、支持方法も考えましょう。

- ポンプ車から最遠打設場所の距離の把握します。
- 一緒にスラブ筋を乱さないよう配管の設置及び養生方法を打合せしておきましょう。
仕上面積
スラブや立上りの天端の仕上によって押さえ方が変わります。
木鏝もしくは金鏝の〇回で〇㎡と種類ごとに㎡数を算出しておきます。
これを事前に左官やさんに伝え、当日何人くるか手配してもらうことができます。

- 仕上げごとの面積の算出しましょう。
- 例)防水下〇〇m2、長尺シート下〇〇m2など。
打ち込み方法
ポンプ車でも配管車なのかブーム式なのか。
ミキサー車から直取りするのか、シュートが必要なのか。
方法によって準備しておくものも変わってきます。明確にしておきましょう。

- ポンプ車(配管・ブーム)で流し込む方法→ポンプ車の設置場所や残コン処理に洗い場の打ち合わせが必要です。
- シュートで流し込む方法→シュートの固定方法や受けるもの(脚立等)の用意と確認します。
- 一輪で受けて運び流し込む方法→通り道の確保及び養生方法の確認。そして土工さんの体力や人数により休憩も考慮します。
- ホッパーで受けて上部かまで持っていき流し込む方法→重機やクレーンにてホッパーを吊るので玉掛の資格の確認と合図の確認をします。
- 重機のバケツで受けて流し込む方法→重機と土工さんの接触事故防止の安全対策必須です。
- 直接ミキサー車から流し込む方法(直どり)→ミキサー車設置場所の地盤確認。及び誘導合図の確認をします。
ポンプ車台数と残コン処理方法
ポンプ車の台数は当然手配する場合に必要です。
現場の状況や数量によって決まります。
またポンプ車に最終残った生コン(残コン)の処理方法も考えておきましょう。
スペースがある場合は現場で処理できるかもしれませんが、現場で処理ができない場合はポンプ返しという方法があります。
これは最終のミキサー車に上部のホッパーから返し、別の場所で処分してもらう方法です。

- ポンプ返しで返すためのミキサー車は空き㎥が0.5㎥ある場合にしないと帰りが過積載になる恐れがあります。最終のミキサー車が少ししかとらない場合等は1台前のミキサー車にポンプ返しをする旨を伝え待機してもらっておきましょう。
通しモルタルの要不要
ポンプ車で打設する場合、最初に配管が詰まらないように最初にモルタルを通します。
これを通しモルタルといいます。
大抵1㎥から発注できます。
現場の仕様に合わせてモルタル強度や余ったモルタルの処理方法を決めておきましょう。

- 通しモルタルを発注した場合は1台目に生モルタルのみを積んだミキサー車が来ます。時間計画にはこのモルタルをとる時間も考慮します。
- 通しモルタルは基本打ち込みません(例外あり)。職人さん達には打込まないことを先に周知しておかないと誤って打込んだ場合取り除かないと駄目なので大変なことになります。わかってるだろうは厳禁ですよ!
コンクリートの仕様と試験
設計基準強度の確認
打設場所の設計基準強度を確認しましょう。
外構に多いですが不明な場合も多々あるので、その場合は必ず設計に確認しましょう。

- 構造の特記仕様書に記載されています。
- 特記仕様書にない場合は設計に必ず確認しましょう。
- 表記はFc=のところです。
補正値の確認
打設時期によって温度補正値が決まっています。
プラントに聞くと教えてくれます。
また構造補正がかかる場合があるので設計に確認しましょう。

- 補正値は各地域で設定されています(都道府県)
- プラントや生コン代理店に言うと表がもらえます。担当者に聞いてみましょう。
- 補正値は3か6です。
呼び強度
設計基準強度に補正値を加えたのが呼び強度になります。

- 例)設計基準強度Fc=24+補正値3で呼び強度は27になります。
コンクリートの呼び方
例えば
24-15-20N
24は呼び強度。
15はスランプ。
20は骨材の径(プラントで決まっています)。
最後のNはコンクリートの種類でNは普通コンクリートの記号になります。

混和剤
配合によって各プラントでコンクリートに混入する混和剤が決まっています。
- プラントから提出されるコンクリート配合報告書に記載されています。
- 使用する配合のページを確認しましょう。
- AE減水剤等です。
生コン工場
生コンのプラント工場です。
正式名称と電話番号を明記します。

調合強度基準材齢
28日です。

- 構造の特記仕様書にて確認しましょう。
スランプ
当日必ず伝票と照合しチェックしましょう。
また荷下ろし試験の際、許容差内にあるかチェックしましょう。

- 構造の特記仕様書にて確認しましょう。
- 建築の場合は15cmか18cmしかほぼ使用しません。
- 試験時の許容差は±2.5cmです。
最大粗骨材寸法
当日伝票と照合しチェックしましょう。

- プラントから提出されるコンクリート配合報告書に記載されています。
- プラントで決まっていて変更するものではありません。
- 20㎜か25㎜です。
空気量
荷下ろし試験の際、許容差内にあるかチェックしましょう。

- 構造の特記仕様書にて確認しましょう。
- 試験時の許容差は普通コンクリートの場合±1.5%です。
セメント種類
当日伝票と照合しチェックしましょう。

- 構造の特記仕様書にて確認しましょう。
W/C(W/C最大値)
プラントの配合ごとに決まっています。

- プラントから提出されるコンクリート配合報告書に記載されています。
単位水量W(W最大値)
プラントの配合ごとに決まっています。

- プラントから提出されるコンクリート配合報告書に記載されています。
試験実施会社
現場荷下ろし試験をしてもらう業者さんです。

段取りし忘れるとコンクリート打設できませんので必ず明確にし、前日手配出来ているか確認しましょう。
- 基本は第三者機関にて行います。
- プラントでも試験を行えますが、試験の手順や方法など全て規格通り行っているか管理が必要です。
圧縮試験実施期間
日本総合試験所です。

- 4週(28日)の試験を行ってもらいます。
- 1週(7日)やXデーはプラントで行ってもらいます。
- 試験実施会社が日本総合試験所に持っていき破壊試験を行ってもらいます。
共試体の数
圧縮破壊試験は3本1セットです。
全部で何セットいるのか上司に確認して事前に試験実施会社に伝えておきましょう。
どれだけ強度確認するかは現場ごとに違うので必ず先輩に確認しましょう。
- 1回の破壊試験で3本使用し平均値をとります。
- 1週・4週・Xデーならば3+3+3で9本必要です。
打ち込み時配置計画
ゼネコンサイドの誰がどこを管理するのかの配置計画です。
規模により全部の箇所を一人で管理するのは不可能なので、だれがどこで管理するのか明確にしておきましょう。
- ○○・・・スラブ上。△△・・・外部足場。□□・・・躯体内部。等です。
機器の手配
当日使用する機器が何か明確にしておきましょう。
バイブレータ―・壁バイブ・突き竹・ミッケル君等、誰が用意するのかを含めて検討しましょう。
- 突き竹はゼネコンで用意でしょうね。他の機器も任せっぱなしにせず台数が適格か確認しましょう。
協力会社の手配
当日どの会社の人が何人くるか確認して明記しておきましょう。
その人数で適正にコンクリートが打設できるのかチェックが必要です。
ポンプやさん・土工さん・左官やさん・鉄筋やさん・型枠大工さん・電工さん・設備やさん・デリバリー・試験代行・ガードマン。
明確にする為に確認するので手配忘れを防げます。
- 電工さん・設備やさんはバイブレーターの線持ちをやってくれますが、あくまでメイン打ち込みスリーブや配管の管理です。手伝ってもらっている意識で接しましょう。
打ち込みスケジュール
時間内に無理なくコンクリート打設が終わるのか計画しておきましょう。
時間ごとに計画とどれだけ違うのか同じなのか確認しながら管理すると、先手をうつことができます。
- なるべく細かく想定し計画しておくと当日がかなり楽になります。またその計画通りに誘導する努力もしましょうね。意味もなく職人さん任せで変更されると訳が分からなくなります。阻止しましょう。
打ち込み時の注意事項
当日作業員に周知する注意事項をまとめておきましょう。
周知忘れによって打設スケジュールに影響がでる時もあります。
- 打設開始時間や通しモルタルの処理方法等々です。言いたいことはほとんど最初に周知してしまいましょう。
養生方法
打設後の養生方法を明確にしておきましょう。
材料が無いとしたいことが出来ないので、明確にしておき、前もって準備しておきましょう。
- 散水養生やシート養生等です。給水が無ければ散水できませんしシートが無ければ雨養生できませんよね!
コンクリート打ち込み計画図作成
当日の配置計画と打設順序を計画しておきます。
またこれを作成することにより前日までに何を片付けなければいけないか明確になり、当日の作業がスムーズになります。
- ポンプ車の設置場所・ミキサー車の通行経路・ミキサー車の洗い場・ガードマンの配置・打設順序を明記し周知しておきましょう。
【新人現場監督必見!】コンクリート打設計画書作成方法を1級建築施工管理技士が解説!!のまとめ
この記事ではコンクリート打設計画書の作成について解説しました。
経験を積むと、コンクリート打設計画書は作成せずとも施工管理できます。
しかしこの書類を作ることにより、打設日までに何をし、忘れているものがないか・間違っているものはないか確認することができます。
打設日前日夜にこの書類を作成しても何の意味もありません。
そういう状況なら当日のコンクリート打設はグダグダでいきあたりばったりの管理になるでしょう。
せめて1週間前には作成し上司に承認をもらっておきましょう。